ヨガをしていたり、ヨガを教えていると、必ずといっていいほど出会うのが、
「〇〇の動きをすると、〇〇が痛いんです……」
というお悩み。
中でも特に多いのが、今回、Miwa先生のシニアヨガ解剖学でテーマとなった「腰」です。
そもそも腰痛は、ヨガに限らず、日本人の8割以上が一度は経験するといわれています。それだけ、人間にとって腰は負担がかかりやすい部位でもあるのです。
今回のシニアヨガ解剖学講座では、「ヨガで出会う腰の悩みや痛み」をテーマに学びました。その一部を、皆さんにもご紹介したいと思います。
腰の痛みの原因は、腰だけにあらず

シニアヨガ解剖学の講座は、まず最初に1時間の理論学習から始まります。
「腰が痛い=腰の問題」ではなく、“動いていない背骨の代償”として、腰が頑張りすぎていることがとても多いのです。
と、Miwa先生。
腰の不調の多くは、腰そのものだけの問題ではなく、「背骨」が影響しているケースも少なくないのだそうです。
特に背骨がうまく動いていないと、本来背骨が担うはずの動きを、腰が代わりに引き受けるようになります。その結果、本来は分散されるはずの負荷が腰に集中し、不調へとつながっていく——そんなお話をされていました。
私たちはつい、腰の周りばかりに目を向けてしまいがちですが、背骨全体を見ていく視点が必要なのですね。
背骨も、使わなければ固まってしまう!?

さらにMiwa先生は、こんなお話もされていました。
背骨は首から下に24個の椎骨で構成されている柱です。この一つひとつがわずかに動くことで、体はしなやかに曲がり、ねじれ、反らせることができます。しかし、日常生活の中でこの細かな動きが使われなくなると、背骨は“使われない部分”から順に固まり始めてしまいます。
これは、実感している方も多いのではないでしょうか。私自身も普段はデスクワークが多く、気がつくと背中がガチガチに……。この状態を放っておいたら大変なことになりそうだな、と感じることがあります。
だからこそ、ここでヨガの出番なのですよね。
大切なのは「小さな、ゆ・ら・ぎ」

ただし、動かせばいいというわけではありません。そこには、大切なポイントがあります。
いつもなら、「可動域いっぱいまで使って動かしていきましょう」とお伝えするところですが、ここでは少し違います。小さな“ゆ・ら・ぎ”が大事なんです。
とMiwa先生。
腰痛予防や腰痛改善に必要なのは、ダイナミックな動きではなく、小さく、細かく、そして時間をかけて、ゆっくり丁寧に動かすこと。ここが大きなポイントです。
これは特に、シニア世代にとって重要な考え方。年齢を重ねるほど、体はより繊細に扱う必要が出てきます。若い頃は多少の無理がきいても、少しずつ体は変化していきます。
その変化に合わせて、ヨガの動きやアプローチも変えていく必要があるのですよね。
胸椎は固まりやすい!?知っておきたい知識が盛りだくさん

講座の中で、Miwa先生がこんなお話もされていました。私が「背中がガチガチになる」と感じている部分、実はそこは——
胸椎と呼ばれる12個の骨。
ここは肋骨に囲まれているため、構造的にも動きが制限されやすく、硬くなりやすい部分なんです。
とのこと。
なるほど……。
だから、少しパソコン作業をしただけでも、「背中がガチガチだな」と感じるのか、と腑に落ちました。こうした知識を知っていると、「ここは意識的にほぐしておきたい部位なんだな」ということがよく分かりますよね。
Miwa先生のシニアヨガ解剖学のすごいところは、こうした「教える立場として、知っておいた方がいい知識」が、たくさん詰まっているところ。ただ、筋肉や骨の勉強をするだけではないところです。
私たちは、いつまでも同じ体でいられるわけではありません。でも、この体を持って生まれてきたからこそ、大切に使っていきたい。解剖学を学ぶということは、自分自身の体、そして生徒さんの体に対する「投資」なのだと思います。
来年 1月12日(月) には、「可動性」と「安定性」を兼ね備えた関節である股関節の悩みや痛みをテーマにした講座が開催されます。
今からでもお申込み可能ですので、気になる方はぜひ受講してみてくださいね。

